「無事就活を終えて、晴れて今日から社会人」
って想像してみましょう。
その暮らしで、一番大切にしたいことってなんですか?

仕事?家族?友達?趣味?
おしゃれで快適な空間に、ゆとりある時間?
なかなか一つだけ選ぶのは難しそうですね、私は無理です。
だから、少しでも欲張りたいのが人情というもの(犬だって!)。
充実した暮らしって、一体なんでしょう。
これは、調査しなくてはならないようですね。
1.暮らしの充実に直結する、街が持っている魅力
「富山のイケてる最新情報を知りたければ『ゼロニイ』を見ろ」と、だれかが言っていました。まずは北日本新聞さんに突撃〜。

ゼロニイとは、「とやまのおいしいモノとコト」をテーマに毎月発行されているフリーマガジン『02(ゼロニイ)』のこと。

食から文化まで、旬でおしゃれな情報が満載で、わたくしも毎月お世話になりっぱなしなんですが…。
富山で月に一度この情報量(48P!)の雑誌を発行するのって、正直なところ大変なのでは?ネタ切れになったりしませんか?
「特に困った記憶はありませんね」と、きっぱり否定したのは、編集部のKさんと営業部のIさん。

「富山市内では、特にここ1年くらい、飲食店やお花屋さんなど新しいお店がどんどん増えていて、新店情報は毎月載せきれないほどなんです。若い方や、Uターンされた方が開いたショップが多く、本当におしゃれなお店が増えたと思います。」
そういう店舗が増えることで、市内でも特に盛り上がりを見せる地区が生まれてきたという。
「総曲輪や中央通り、大手モールなどの市中心部はもちろん、自転車店やイタリア料理店などが集まる『花水木通り』にも新しいお花屋さんやカレー屋さんがオープンしていますし、少し離れますが古沢という地区にも、おしゃれな和菓子屋さんや本格的なコーヒーショップなど多彩なお店が集まっていて、若い人たちを中心に注目されています。」

なるほど、街の魅力は暮らしの充実にはなくてはならないようだ。
やはり、私の目に狂いはなーい!
引越しを考えたらまずは街を歩いてみると、そこで暮らす自分の姿を想像できるかもしれない。
2.充実した暮らしには、ステキな住まいが欠かせない

編集部で入手した情報で特に気になったのが、インテリアショップ&ギャラリー『51% Store』(ゴワリイチブストア)。

なぜなら、富山は持ち家率、住宅延べ床面積全国トップクラス。住環境にはかなりのこだわりがあるはず。これは外せないでしょう。
一歩足を踏み入れると、そこはまさしくミュージアム。ああ、ステキ。

「1日のうちに最も長い時間滞在する場所が良くなれば、自ずと毎日の暮らしがきれいになります。」
と話すのは、ショップを運営している、住宅・商業施設の設計施工からインテリア・広告デザインまでを取り扱う「51%(五割一分)」の沖田さん。
「建築設計事務所としてインテリアを取り扱うのは、長い時間生活を共にするモノと、家という空間をトータルでご提案することで、限られた予算の中でなるべく質の高い暮らしを実現していただくことができると考えているからです。」

人や暮らしから家を設計していくのが五割一分さんの設計思想。「家」にこだわる富山で、暮らしにこだわることは、実はとても自然なことですね。
「富山は特に、他県に比べると土地価格も割安ですから、その分を建物やインテリアに予算を回すことで、暮らしの質にもこだわることができると思います。」
そんな五割一分さんとの出会いで、理想の暮らしを手に入れたという、Tさん宅を訪れた。

富山市中心部から車で10分ほどの閑静な住宅街に佇む、シンプルで潔いデザインが特徴的。
ステキ。
「建てたのは3年くらい前。妻の実家の土地を一部譲り受け、夫婦で暮らしています。」
と話すのは、夫のTさん(33歳)。

ご実家に近ければ、奥様は何かと助かりますね。
「僕個人としてはもう少し自然が豊かな、周りが田んぼみたいな場所もいいなと思っていたんですが、コンビニやスーパーに歩いて行けるのはありがたいです。最近転職して、職場も自転車で行くくらい近いですし。」
リビングはとても洗練されていて、お気に入りの家具が並ぶとても落ち着ける空間。天井に埋め込まれたビルトインタイプのエアコンも、インテリアをすっきりと見せている。


最近家族になったゴールデンレトリーバーのイエティくん
「外観はあまり気にならないというか、逆にこのくらいシンプルなのが好きです。そのかわりではないですが、五割一分さんにアドバイスをいただきながら、設備やインテリアにこだわることができました。」

部屋をきれいに保っているのは奥様のようだ。
「周りの友人同様うちも共働きですが、ほぼ任せちゃってます。お互い口を出すと喧嘩になっちゃうので(笑)その分、芝生は僕が育てましたよ。」

いろいろなことに興味を持つというTさんは、釣りやスノーボード、カメラなど、これまで色々な趣味を楽しんできた。これも、海や山が身近な富山ならでは。
「最近はずっと、週末になると知人の農園を手伝っています。収穫された野菜はレストランで提供したり、グランドプラザの朝市で売られたりしています。土いじりやトラクターは楽しいですね、採れたての野菜もたくさんもらえますし」
自分の手で育て収穫した新鮮な野菜を家庭でいただけるなんて!

毎週月曜日、グランドプラザで新鮮な野菜やお米、加工品が買える!
自分で育てた野菜を奥様の手料理で食べられるなんて、こんな絵に描いたような幸福が本当にあるのだろうか。
ちなみに奥様はファッションがお好きなようで、市内に行きつけのブティックが何店舗かあるらしい。Tさん曰く少々お高めらしいけど、お仕事と家事の両立をこなしているご褒美といったところでしょ!
3.いちばん気になる、20代の独身暮らし

結婚して、素敵な家を構える。
それは誰もが思い描く、代表的な充実した暮らしでしょう。
でも、もっと若い頃の暮らしはどうなの?
そんな疑問の答えを求めてお会いしたのは、美容師として忙しくも充実した毎日を送っているという尾崎さん(26歳)。
この日も本社のある金沢から戻ってきたばかりのところを、なんとか時間をもらった。

路面電車・セントラムの大手モール前電停で待ち合わせ。
市中心部の中央通りにある、地方都市では観る機会が少ない単館系の映画や音楽、イベントを楽しみながらゆったりくつろげるカフェ「HOTORI」でお話を伺った。

尾崎さんにとっても、お気に入りのカフェのひとつだそう。
「この後もご予約のお客様がいらっしゃるんです」
と、すでに人気の美容師になりつつある尾崎さん。将来はやはり自分の店舗を持ちたいと考えているそうだ。
「実家も富山なので、結婚したら土地を分けてもらって、そこに自宅兼店舗を構えたいと思っています。2、3席のこぢんまりとしたイメージで、一度ざっと費用の計算をしたこともあるんです」

お若いのにしっかりしていらっしゃる!お仕事はとても充実しているようですが、プライベートもしっかり楽しんでいるとのこと。
「美容師なのでお休みは基本的に平日です、お買い物や友人と食事をすることが多いですね。金沢まで車で行くこともありますが、市中心部にもおしゃれな店が増えてきたので、セントラムで街中を回るのも楽しいです。少し前は釣りにはまっていたこともあって、よく岩瀬浜のテトラポットにいました(笑)」
車を使わなくても色々なスポットにいけるのも、公共交通が充実している富山ならでは。

美容師らしく流行にも敏感な彼女には、最近気になっている場所があるという。
「呉羽の方に、気になるお店が増えているんです。古沢とか。近いうちに時間を作って巡ってみたいですね。」
仕事もプライベートも全力投球、そんな感じの尾崎さん。
なるほど、明らかに充実していて楽しそうです。
それにしても、また「古沢」。
これは調査せねばなりますまい。
お店が人を呼び、人がお店を呼ぶ、富山の新スポット
市中心部から西に車で約20分。呉羽丘陵に近く、のどかな田園地帯や梨畑が広がる、ここが噂の古沢地区。

確かにこの狭いエリアに、素敵なお店が競うように並んでいるじゃないですか。一体どうして?
本場ドイツ仕込みの製法と、地元や自社牧場の素材にこだわったソーセージやハムが人気の「メッツゲライ・イケダ」さん。2014年にこの場所に移転し、週末だけオープンするカフェも併設した。
「市街地からは少し離れていますが、もともとご贔屓いただいているお客様に支えられていたこともあって、地価が低くて駐車スペースがたくさんとれるこちらに移転しました。それから周りに1年に1店舗くらいのペースで、少しずつ他のお店も増えていったと思います。みなさん素敵なお店ばかりで、それぞれに良いお客様がいらっしゃることで、お互い支え合っている感じもします。」
メッツゲライ・イケダの向かいにあるのが、大正八年創業の人気老舗和菓子店「引網香月堂(ヒキアミコウゲツドウ)古沢本店」。大胆な赤い水玉模様の暖簾が印象的だ。
繊細なデザインの生菓子や、代表銘菓「万葉の梅園」をはじめとした創作和菓子が並ぶ店内にはカフェスペースも設けられており、お茶とお菓子をいただきながら、ひとときの安らぎを楽しむこともできる。
そのお隣さんが、気軽に立ち寄り、試飲や会話を通してコーヒーの新しい魅力と出会えるスペシャルティコーヒー専門店「hazeru coffee」(ハゼルコーヒー)。
オーナーの窪田さんは石川県出身で、地元で大手コーヒーチェーンに就職。富山勤務を経て京都に転勤したのちに、独立して富山に移住。店舗兼自宅を構えた。

オーナーの窪田さん(左)と、従業員の中山さん(右)
「京都に転勤になって引っ越した時に思っちゃったんです。あ、俺富山好きかもって(笑)。この場所は高岡や金沢からも案外お客様に来ていただきやすい。ご近所のお店にそれぞれファンの方がいらっしゃって、その方々がついでに立ち寄っていただけるのもありがたいです」
同年代のお子様を持つご近所さんもいらっしゃるということで、住む場所としても快適だそう。

「富山で暮らす魅力をPRするなら僕は適任ですよ、いくらでも話せます(笑)」
コーヒーってこうやって比べてみると、豆によって味や香りが全然違うんだなあ。すごい。
こういう違いって、心にも体にも余裕ないと感じられないかもしれないぞ。
大好きな場所で、大切な人たちと過ごし、大好きな仕事をする。
これまた充実した暮らしそのものではないか!

年齢や環境、好みや考え方によって、充実した暮らしの定義は人それぞれですが、程よい職場環境や住環境、街の魅力があってこそなのは、どうやら間違いがないようです。
職場を選ぶことは、暮らしを選ぶこと。
あなたはどんな暮らしを、思い描きますか?
それを実現できる場所は、ありますか?
ひょっとしてそれ、富山じゃないですか?
